書道の力

硯

墨の色は、書道をする上で重要なポイントになります。深く味わいのある墨本来の色を引き出すには墨自体の品質はもちろん、硯(すずり)の材質や墨のすり方も大きく関係します。硯を正しく使い、キレイな作品を書き上げましょう。書道には欠かせない硯と、硯を使った墨のすり方などについて紹介していきたいと思います。

硯とは?

硯とは、書道をする際に、水を使って墨をするための道具です。中国の人々は昔、固形の墨を磨盤で細かく砕きながら使っていたのですが、あるとき水溜りに固形の墨をつけて、磨盤に擦ってみました。すると、少し粗さが残ったとはいえ、墨がおりたのです。以来、人々は瓦、陶磁器、青銅器など様々なものを試し、唐の時代には古生代の石が硯として使われるようになりました。

硯の種類

硯にも様々な種類があり、産地をはじめ、材質、形、模様などによって異なります。代表的な種類を取り上げてみましょう。

硯の種類 特徴
端渓硯(たんけいけん) 鋒鋩(※)の粒子が、細かく均一になっています。硯の中でも、一番良いとされています。
歙州硯(きゅうじゅうけん) 鋒鋩の粒子が少し粗く、鋭く深い凹凸で不揃いです。このため、早くすることができます。
雨畑硯(あまはたけん) 鋒鋩の粒子サイズは不揃いですが、整っています。均一な墨液を得ることができます。

※鋒鋩(ほうぼう):硯面の墨をする墨堂の細かな凹凸のことを言います。

選び方

硯を購入するとき、一体どのようなものを選べばいいのでしょう?選び方のポイントを挙げます。以下のポイントを参考に、良質で使いやすい硯を選んでください。

1. 硯面に触れたとき、手に吸い付くような感触があるもの
2. 一度息を吹きかけてみて、その跡が簡単には消えないもの
3. きれいな色をしているもの
4. 爪で軽くこすってみて、適度に跡がつくもの

墨のすり方

硯を選んだら、今度は基本的な墨のすり方を見ていきましょう。本格的な書道はまず、墨をすることから始めます。特に難しい手順はないもないので、墨をすっている時間も楽しみながら、書道への思いを深めていってください。

すり方の手順

書道セット

硯面に水を何滴かたらして、墨を軽く持ちましょう。そして、余計な力を入れずに手の重みだけで硯に「の」の字を書くように、ゆっくりと動かします。ここで、濃くなりすぎるようであれば、いったん手を止めて水をたらしてから、すりましょう。少し濃いかな?と思っても、できるだけ濃くすって、すり終わったあとで、好みの濃さに調整してください。水をたらした際、よく混ぜ合わせようとするばかりに、手に力が入ってしまう人もいますが、なるべく自然に力を抜いた状態になるよう、心がけましょう。

硯を使ったあとは?

硯を使い終わったら、すぐに水洗いましょう。水気をよく拭き取り、十分に乾燥させてから箱にしまってください。毎回しっかり手入れをしていても、長い年月が経つと隅のほうに墨液のカスが溜まっていき、目詰まりを起こしてしまいます。そういった場合は、硯を水に2~3時間浸したあと、目詰まりを起こしている部分を少し強めにこすってみてください。そうすると、ほとんどの目詰まりは解消されます。このとき、タワシなどを使ってはいけません。

すりにくくなったら?

硯と筆

正しく使っていなかったり、もとから鋒鋩が弱い硯の場合、次第に鋒鋩がすり減ってきます。そうなってしまうと、泥砥石を使う必要が出てきます。減ってしまった鋒鋩を立たせるために使う道具が、泥砥石です。使い方は硯に水を多めにたらし、泥砥石で硯面をすっていきます。一度すり合わせるごとに、水をたらしてください。この一連の作業を“目立て”と言います。

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